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信州の山里にある子育て村の活動


by freekids
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山里便り 2011 夏

山里便り 2011 夏

 大震災から3か月が過ぎ、気持ちは混沌としながらも、春先の出遅れを挽回すべく、田植えをし、種を蒔き、苗を植え、土手の草刈りや田の草取りをし、味噌を仕込み、と例年通りの農的生活をさせていただいています。こうして「いつも通りである」ことを、とても有難く感じる毎日です。震災で多くの方が命を落とされ、今、ここにある命の営みこそが、大いなる力のはたらきの証であり、奇跡的なことなのだと、実感します。
 けれど、不安定な天候が続き、気温や地温が上がらず、農作物の生育がゆっくりです。夏野菜の実りが夏に間に合うか気になります。ここは高冷地なのでビニールハウスや黒いビニールを畑に敷くなどして、温度を上げないと、自然の状態では収穫が食生活に追いつかない現状です。耕さず、肥料を入れず、大地の力で育つ自然農を目指していますが、なかなか思うようにはいきません。子育ても同じですが、思うようにいかないところが一番の楽しさです。そのように考えると私たちの計らい通りにならず、思いがけないことの連続の人生も同じことですね。
 思いがけない出来事に一喜一憂する私たち。がっかりしたり、悲しく感じるとき、どうしても辛い気持ちに引っ張られ、すでに多くのものを与えていただいていることを忘れてしまいがちです。私たちが子どもたちに伝えたい“生きる力”とは、“自分を信じる力”であり“生かされている自分の命の営みを信じる力”ではないかと思っています。大きな力が自分の命を育んでいてくれる事を思い出すと、暗闇に一筋の光が射しこみ、目の前が開けていきます。
 “月影の至らぬ里はなけれども、ながむる人の心にぞすむ”という法然上人の句が心に浮かびます。海に出て、弧を描く水平線を眺めると、自分は水の惑星“地球”の住人なのだと気づきます。そして、たくさんの星が輝く夜空を見上げると、宇宙に浮かぶ“地球”という惑星に生きている小さな自分に気づきます。
 与えていただいた命、大いなる力に育まれている命の営みに感謝をしながら、日々目の前に与えられる出来事を受け入れ、引き受けることが人生の楽しみになっています。何も恐れることもなく、不安になることもない。自分に必要なことは、すべて過不足なく与えられている、と府に落ちると、悲しみや淋しい気持ちが訪れても、その感情にとらわれることなく、やり過ごすことができるようになってきました。
 「誰もが心豊かに平和に生きられますように」という願いを叶えていく道筋がはっきりと見えてきたようなこのごろです。自分の生き方を通して、子どもたちに不安や恐れにとらわれずに生きられることを実感してもらえることを願っています。
 大震災により、不安や恐れが強まっているからこそ、願いを強く持ち、祈り、日々心豊かな生き方を実践していきたく思っています。
 生かされている命を実感し、ホッと一息つきにいらしてください。元気に輝く子どもたちをはじめ、大家族がお迎え致します。

愛と感謝を込めて 宇津 孝子
by freekids | 2011-07-10 23:04 | たかこからの山里便り