たかこからの山里たより
2014年 10月 13日

山里の家のまわりには、栗やくるみが天から届けられ、祝福を受けているかのようにありがたく感じる秋の日々です。一方、身近に感じている御嶽山の噴火で、私たちの日常生活は、絶妙なバランスを保つ地球の営みの上にあることを痛感しています。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
私たちを育む大きな自然に感謝をしながら、稲刈りが始まりました。一株ずつ稲を手で刈り、去年稲を脱穀した後のワラで束ね、天日干しをしています。自然の恵みとして私たちの主食であるお米を、こうして自分たちの手作業でいただけることに心から感謝の思いでいっぱいです。1歳から18歳の里子のこどもたち5人も一緒に稲刈りをしました。私にとって、極上の至福の時間です。
大いなるはたらきにより、この世にいただいた私たちの命、そして日々生きるために必要なものはすべて与えられ、守られている命です。すでに日々すべてをいただいているこの人生で、何をどれだけお返しできるのか。私は、この人生でいただいたすべてをできる限り次世代のこどもたちにお返ししていきたいと思っています。こどもたちが、大切に慈しまれながら成長していかれる、安心なコミュニティの一員でありたいです。
経済的に豊かになり、モノと情報に溢れたこの社会で、家庭や家族の役割が大きく変わってきています。私自身、息子が5歳の時に夫が他界し、シングルマザーとなりましたが、この11年間、大家族の“かあちゃん”をやらせてもらってきています。ですからいわゆる“普通の家庭”というものを知りませんが、多くの家庭の母親が仕事を持ち、日中は母親不在で、子どもが帰宅時に家に誰もいない状況が増えていると思います。こどもにとっておとなが留守の家は、何だか不安で落ち着かないものだと思います。その落ち着かなさが、日常の当たり前になり、子どもたちの不安定な心模様を描いているのではないでしょうか。
子どもにとって、家族とのつながりが何よりも大きな安心だと思います。けれど、その安心が得られない社会的養護が必要とされている子どもたちが、日本には4万7千人もいます。フリーキッズ・ヴィレッジは、不登校で学校という居場所をなくした子どもたちや、フリーキッズと家をシェアしている“うずまきファミリー”の社会的養護を必要とする子どもたちにはもとより、どんな方にも、人と自然とのつながりの中で安心して心豊かに生きられることを実感していただけるように、山里での大家族自給暮らし体験を提供しています。
すべてのおとなたちからすべての子どもたちへと、「地球に給わり足るを知る(地給知足)」暮らしを伝えたい、と願うおとなたちが集まり、昔は当たり前だった村社会(子育てコミュニティ)が新たに作れると思えています。子どもたちの笑顔に日々エネルギーをいただきながら、「誰もが心豊かに平和に生きられますように」と願い続ける毎日です。
すべての恵みに感謝の思いをこめて、収穫祭を致します。冬を迎える前の山里に、是非足をお運びください。お待ちしています。
愛と感謝をこめて 宇津 孝子