たかこからの山里たより
2015年 07月 13日
山里を緑色の風が吹き抜け、梅雨の晴れ間に爽やかさを運んでくれています。日々、田んぼの草取りに泥だらけになりながら、こどもたちとの暮らしに、すべてを注ぎ込んでくれている若者たちの姿に未来への希望を感じる毎日です。
私自身は、生後3か月の赤ちゃんを児童相談所から緊急一時保護で預かり、ますますにぎやかな毎日です。健やかに成長をしている子どもたちのひとつひとつの行動が、愛おしく、共に過ごさせていただけるご縁に、感謝の思いで満たされます。
この4月から6月までの3か月の間に、田植え、麹作り、味噌の仕込み、藍建てをさせていただきました。私は、子どもたちの所用に追われ、季節の仕事に追いつかずにいますが、フリーキッズのみんなは農事歴に従い、すべての準備を進めてくれます。地給知足(地球に給わり足るを知る)の生活は、その段取りに時間とエネルギーを注がなければ成り立ちません。大家族生活だからこそ成り立つことだと感謝します。
寄宿生活塾としてのフリーキッズへの入塾の問い合わせや体験入塾生が、春から間断なく続いています。学校の枠組みに納まりきれず、不登校になる子どもが増えていると思います。けれど、学校という枠に納まることが子どもの自立につながるのでしょうか?フリーキッズに入塾した子どもたちは、伸び伸びと自分らしさを発揮し、純粋さや優しさを輝かせながら、様々なヤンチャやいたずらやして、スタッフに「こらーっ!」と、愛されています。それぞれの年齢相当のあるべき姿を呈して、体験や失敗を通して学びながら成長していると思います。一人一人に大きな課題は感じません。子ども自身が自分の思いや感情に気づき、周囲にわかってもらえる言葉や行動による表現ができるようになれば、集団生活にも溶け込んでいかれるのではないでしょうか。自然の中で伸び伸びと過ごす子どもたちと、見守る大人のまなざしと声掛けにより、子ども自身が気づける「自分の思いや感情」だと思います。発達障害と呼ばれる発達のばらつき自体は、大きな問題ではないのに、みんなと同じようにできないことを叱られ、批判され、時にはいじめられることで、「どうせ自分なんか」という自己否定感が生れ、日常生活が苦しいものになってしまいがちです。
「子どもたちの魂が自由でありますように」と願い“フリーキッズ”と、そしてその思いを共有してくださる家族たちが集まる「村」になっていくイメージで“ヴィレッジ”でした。“地給地足の子育て”を目指す家族がご近所に増え、週末には当たり前のように大勢の子どもたちが集まっています。活動を始めて12年目になり、夢だった“フリーキッズ・ヴィレッジ”がようやく実現しつつあるように思えます。てっちゃんが元気でいてくれているうちに、地給知足の大家族生活を受け継いでいきましょう。受け継いでくれる若者たちをサポートできる体制を整えていくのが私の役割かな、と感じています。
必要なものはすべて、必要なだけ与えていただける豊かな人生に心から感謝をしています。今、与えていただいていることにできる限りのエネルギーを注ぎ、一日一日を過ごしています。ありがとうございます。
愛と感謝をこめて
宇津孝子
