信州の山里にある寄宿生活塾の暮らし


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たかこからの山里便り

【 たかこからの山里便り 】

冬が終わり、春を迎えました。水仙の花が咲き始め、やがて梅や桜も満開となり、山里は色とりどりに輝き、私たちの心は自然界への感謝に満たされます。私が田舎暮らしを始めた18年前は、「畑の根雪が融けて土が見えたらタマネギの追肥をするといいよ。」と、お隣のおばあちゃんから教わりました。けれどこの数年、温暖化の影響で、冬中雪に覆われることがなく、次世代に伝えたい、言い伝えの農事歴が崩れています。
生後7か月から一緒に暮らし、5歳になった里子の娘が、寝室で枕を並べて眠りにつく前に言いました。「大きくなったら、私も大きなおうちになりたいな。」と。「えっ?大きくなったら大きなおうちに住みたいの?」と、私。「ううん。大きなおうちになりたいの。だって大きなおうちは誰でも大家族になれて一緒に暮らせるでしょ?だから私も大きなおうちになりたいの。」「あ、そうね。このおうちみたいな大きなおうちになりたいのね。たくさんの人が暮らせて素敵よね。今日も楽しい夢を見てね。おやすみなさい。大好きよ。」乳幼児3人と私が川の字プラス1の雑魚寝をしている寝室の就寝前のひとときは、子どもたちのファンタジーの世界に招かれ、私の1日の中で至福の時間です。特にこの日は、5歳の娘が私の思いを受け取り、受け継いでくれているように感じられ、うれしくなりました。
フリーキッズは、築100年の大きな古民家です。自宅を開放し、不登校になった子どもたちとの自給自足(地給知足/地球に給わり足るを知る)の大家族生活の場となり13年目になります。多くの子どもたちと暮らしながら、不登校になるまでの辛い思い、不登校後の家庭での行き詰まりなど、子どもたちの苦悩を聞かせてもらってきました。そして、子どもたちの内に秘めた辛さや悲しみや怒りなどの自己否定感が、自傷行為として自分に向いたり、暴言暴力として他者に向けられる子どもたちのやるせなさに寄り添い、共に歩ませてもらってきました。学校や友人関係に行き詰まり、苦しみ、悩み、「どうせ自分なんか」と、自己否定感にさいなまれている子どもたちは、高遠の山里で、四季折々自然の営みの中で、自給自足をベースとし、協力し合う生活の中で、次第に「自分は大丈夫」と思えるようになっていきます。大いなる力からいただいたかけがえのない自分の命、そしてその命を育んでくれる自然の営みを実感し、生きるために必要なものは、すべて与えられていることに気がつきます。子どもたちはここで数年間を過ごし、生きる力が輝き、それぞれの家庭と学校に帰っていきます。
けれど、家庭の機能が果たせず、子どもがどんなに望んでも、家庭に帰ることができない子どもたちが、日本では3万7千人も児童養護施設や里親の元で暮らしています。私は、不登校の子どもたちとの生活をしながら、専門里親になり、被虐待児、障害児、非行に走っている子どもたちを里子として迎え入れ、共に暮らせるようになりました。私には、先進国の日本に、家庭で暮らせない子どもがたくさん存在する、ということが信じられませんでした。いつも頼りにできて、自分を守ってくれるおとなの存在がなく、子どもが成長していくという養育環境はあってはいけないと感じています。ですから、自分が一緒に暮らすことができる子どもは数人であっても、このような要保護児童たちと一緒に暮らしたいと長年思っていました。今は、里親家庭による小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)うずまきファミリーとして定員6名の里子の受け入れをしています。大きな古民家は、フリーキッズとうずまきの2世帯の子どもの家のシェアハウスとして、たくさんの子どもとおとなの暮らしの場を提供してくれています。「大きなおうちになりたい」と、言ってくれて、この100歳のおうちも喜んでいると思います。どうぞ、お泊りにいらしてください。

愛と感謝をこめて 宇津 孝子
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by freekids | 2016-04-01 15:34 | たかこからの山里便り